「債務整理」に関するお役立ち情報
期限の利益の喪失とは
1 金銭消費貸借契約における期限の利益喪失
期限の利益とは法律用語のひとつであり、債務者の方が契約上定められた期限までは、債務の履行をしなくてよいという法律上の利益のことをいいます。
【参考条文】民法
(期限の到来の効果)
第百三十五条 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。
(第2項略)
参考リンク:e-Gov法令検索(民法)
2 期限の利益喪失の規定
貸金業者等から金銭を借りて分割返済をする契約(金銭消費貸借契約)においては、分割して毎月返済するという約束が守られている限りで、債務者の方は一括返済を待ってもらえるという期限の利益を持っています。
しかし、多くの場合、一定の条件に当てはまった場合には期限の利益を失い、貸金業者等は残りの債務全額を一括で請求できるようになる旨が定められています。
民法第137条で定められている期限の利益喪失事由は3つありますが、これら以外の期限の利益喪失事由を、契約で別途定めることもできます。
【参考条文】民法
(期限の利益の喪失)
第百三十七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
参考リンク:e-Gov法令検索(民法)
3 貸金業者等との契約に記載されている期限の利益喪失条項
貸金業者やクレジットカード会社との間で取り交わした金銭消費貸借契約書には、多くの場合、期限の利益の喪失条項が記載されています。
代表的なものとしては、「○回以上支払いを怠ったとき」に期限の利益を喪失し、残債務の元金および未払利息等を直ちに支払わなければならないとするものが挙げられます。
この条項により、一定期間滞納をしてしまうと、契約上は残債務の全額を請求される可能性があります。
4 期限の利益喪失後に起こり得ること
期限の利益を喪失すると、貸金業者等は法的に残債務の全額を一括請求できる状態になります。
債務者の方が対応をしない場合、貸金業者等は以下のような行動をとることが考えられます。
①電話や書面による督促
②訴訟提起、または支払督促申立て
③強制執行(給与差押え、預貯金口座の差押え等)
強制執行をされてしまうと、日常生活にも支障をきたす可能性があるため、対応を先延ばしにするべきではないといえます。
期限の利益を喪失してしまったら、できるだけ早く弁護士に債務整理の相談をすることで、事態の悪化を回避できる可能性があります。






















